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【60系プリウスPHV】乗ってわかった”別物”の魅力。試乗インプレ・開発秘話・新車&中古車価格まで本音でレビュー

2026.7.12  ブログ  , , , , , , , , ,

正直に言うと、僕は「プリウス」という名前に、ずっと”良くも悪くも優等生”というイメージを持っていた。燃費はいいけど、走りはそこそこ。デザインは無難。タクシーの印象も強い。

でも60系のプリウスPHVに試乗して、そのイメージは完全に崩れた。というか、いい意味で裏切られた。今日はそんな60系プリウスPHVの魅力を、スペック表だけでは伝わらない部分まで含めて、じっくり書いていこうと思う。

目次

  1. 60系プリウスPHVとは何が変わったのか
  2. 走行インプレッション──「プリウスなのに速い」の正体
  3. カタログスペック・グレード構成
  4. 開発陣が明かした”やめるかどうかの瀬戸際”だった舞台裏
  5. 新車価格と中古車相場
  6. まとめ:こんな人にプリウスPHVはハマる

1. 60系プリウスPHVとは何が変わったのか

2023年1月、5代目となる新型プリウスが登場し、同年3月にPHV(プラグインハイブリッド、現在は「PHEV」表記)モデルが追加された。この世代からトヨタは呼び方を「PHV」から「PHEV」へと変えている。市場で電動車への注目が高まる中、電動車であることをより強く打ち出したかったという開発陣の狙いがあったようだ。

先代(50系)までのプリウスPHVは、正直なところ「環境性能に振り切った、大人しいクルマ」というイメージが強かった。ところが60系は違う。開発責任者を務めた大矢賢樹氏らは、”燃費のいいクルマ”というイメージから脱却し、スポーツカーのように生まれ変わることを目指したと語っている。実際、ボディはグッと低く構え、Aピラーは強く傾斜し、まるでスペシャリティカーのようなシルエットになった。

PHEVモデル専用の装備として、専用アルミホイールやグレースモークカラーのテールランプが与えられ、HEVモデルとは一線を画す先進的でスポーティな見た目に仕上げられている。

2. 走行インプレッション──「プリウスなのに速い」の正体

これは実際に運転して一番驚いた部分なので、少し熱を込めて書きたい。

60系プリウスPHEVのシステム最高出力は223馬力。0-100km/h加速はわずか6.7秒とスポーツカーであるGR86に匹敵する数値を叩き出す。先代PHVのシステム出力(122馬力)と比べるとほぼ2倍のパワーアップだ。

アクセルを踏んだ瞬間、モーターのトルクでスッと加速が始まる。この「間」のなさは、これまでのプリウスにはなかった感覚だ。頭が後ろに引っ張られるような加速感は、これまでのプリウスにはない新鮮さがあると感じた。

もうひとつ印象的だったのがハンドリング。カーブに入ると、ステアリングのわずかな動きにも車体がスッと反応してくれる。この理由のひとつが、駆動用バッテリーの搭載位置だ。先代では荷室付近にあったバッテリーが、新型ではリヤシート下付近に移動されたことで低重心化と前後の重量バランスが最適化されている。

ブレーキフィーリングも良い。トヨタの協調回生ブレーキは、他社にありがちな「ゴムを踏んでいるような」曖昧さがなく、油圧ブレーキと回生ブレーキの切り替えがどこで起きているか分からないほど自然だった。

充電については、急速充電には対応していない。バッテリー容量が13.6kWhと大きくないこともあり、急速充電を使うメリット自体が薄いという判断のようだ。普通充電(200V/16A)なら満充電まで約4時間30分。自宅にコンセントがある人なら、夜間に充電して毎日EV区間だけで通勤・買い物をこなす、という使い方が現実的にできる。

EV走行換算距離は19インチタイヤ装着車で87km、17インチタイヤ装着車では105km。通勤や近所の買い物程度なら、ガソリンを一滴も使わずに走り切れる距離感だ。

3. カタログスペック・グレード構成

60系プリウスは、ハイブリッド(HEV)とプラグインハイブリッド(PHEV)を含めて全6グレードという豊富なラインナップを持つ。

  • U:1.8Lエンジン搭載、KINTO Unlimited専用仕様
  • X:1.8Lエンジン搭載、ビジネス向けグレード
  • G(HEV)/Z(HEV):2.0Lエンジン搭載の上級グレード
  • G(PHEV)/Z(PHEV):プリウスのハイパフォーマンスモデル

PHEVは「G」「Z」の2グレードのみで、駆動方式はFF(前輪駆動)に限られる。

ZグレードとGグレードの違いは、装備の充実度にある。Zグレードにはパワーバックドア、フロントガラスのスーパーUVカット&IRカット機能、パノラミックビューモニター、トヨタチームメイトなどが備わるのに対し、Gグレードはこれらの一部が省かれるものの、価格は70万円ほど抑えられている。ただしパワーやトルク、EV走行距離といった基本スペックはZグレードと変わらないので、「見た目の豪華さより走りの本質を取りたい」という人にはGグレードが狙い目だ。

燃費はWLTCモードで最大30.1km/L。実燃費でも街乗り中心で24〜28km/L程度は狙える数値という報告があり、PHEVならではのガソリン代の安さも実感しやすい。

安全装備は最新の予防安全パッケージ「トヨタセーフティセンス」を標準装備し、Zグレードにはアダプティブハイビームシステムも用意される。ボディカラーは「ニュートラルブラック」を含む全6色。2025年には黒を基調とした「ナイトシェード」仕様も追加されており、より精悍な表情を選べるようになった。

4. 開発陣が明かした”やめるかどうかの瀬戸際”だった舞台裏

ここが個人的に一番グッときたところなのだが、この60系プリウス、実は誕生までの道のりが決して平坦ではなかったらしい。

新型プリウスのチーフエンジニアを務めた上田泰史氏によると、開発の過程では”燃費のいいクルマ”というイメージを突き詰めた結果、タクシー専用車のような、コモディティー化しきったクルマになるプランすらあったという。プリウスというブランドが、このまま「無難で退屈なクルマ」の道を歩んでいた可能性があったということだ。

それを覆したのが、「ハイブリッド・リボーン」というコンセプトだった。上田氏は、これまでガソリン車を選んできた人にも振り向いてもらえるクルマを目指し、カッコよくて、乗ってワクワクして、どこかへ出かけたくなる衝動を起こすことこそが道ではないかと思い至ったと語っている。そこからデザイナーにイメージスケッチを描いてもらい、開発がスタートしたそうだ。

デザイン面でも苦労は多かった。新型プリウスの特徴である強く傾斜したAピラーは、前例がないほどの傾斜角のため、視界の確保や乗り降りのしやすさを入念に確認する必要があった。そのために開発チームは、デジタルモデルでの検証だけでなく従来型PHEVをベースに改造した試験車両まで用意し、多くの開発メンバーが実際に乗り込んで一つひとつ課題を洗い出していったという。

面白いのは、当時のトヨタ社長(現・会長)である豊田章男氏の考え方だ。開発責任者の大矢氏によれば、章男氏はタクシーのように長く乗ってもらえるクルマを数多く増やすことこそが、プリウスがカーボンニュートラルに貢献する役割ではないかという考えを持っていたそうだ。「速さ」と「地球への貢献」、一見矛盾するようなふたつの軸を、60系はうまく両立させたクルマだと言えるだろう。

ちなみにプリウスというクルマ自体の原点を辿ると、1997年、世界初の量産ハイブリッド車として登場した初代の開発責任者は、後にトヨタの会長となる内山田竹志氏。開発プロジェクト名は「G21プロジェクト」だった。あの「21世紀に間に合いました。」というキャッチコピーは、実は開発陣が地球温暖化防止京都会議(COP3)を目標にしていたわけではなく、偶然にも発売翌日にCOP3で京都議定書が採択されたという巡り合わせだったらしい。四半世紀以上前の逸話だが、こういう背景を知ると、今のプリウスPHVを見る目もちょっと変わってくる。

5. 新車価格と中古車相場

新車価格の目安

グレードによって幅はあるが、目安として以下のようなイメージだ(時期・オプションにより変動する)。

  • ベースグレード「U」(HEV):約320万円〜
  • PHEVグレード「G」「Z」:Zグレードを基準に、Gグレードは約70万円安い設定

正確な最新価格は、トヨタ公式サイトの「価格・グレード」ページで確認するのが確実だ。年次改良で細かく価格や装備が変わるので、購入直前には必ずチェックしておきたい。

中古車相場

2023年式を中心に、PHEVモデルの中古車相場は208万円〜650万円程度とかなり幅広い。走行距離が少ない未使用車に近い個体は300万円台後半〜400万円台に達するケースもあり、初期に登録された走行距離多めの個体なら200万円台前半から探すこともできる。

参考までに、実際の中古車ネットワークで見かけた個体では、

  • 2023年式・走行4.2万km・純正12.3インチナビ・ガラスルーフ付き:総額345.9万円
  • 2024年式・走行0.9万km・パノラミックビューモニター付き:総額348万円
  • 2025年式・走行684km・寒冷地仕様(Uグレード):総額318万円

といった価格帯が見られた。走行距離が浅い個体ほど当然価格は高くなるが、逆に言えば「新車に近い状態のPHEVをワンランク安く手に入れられる」というのが、登場からある程度年数が経った今の狙い目とも言える。

維持費の面では、19インチタイヤ装着車はタイヤサイズが特殊なため交換費用が一般的な乗用車より高め(4本で10万円〜)になる点は覚えておきたい。将来的なコストを抑えたいなら、17インチ装着グレードを選ぶという選択肢もある。

6. まとめ:こんな人にプリウスPHVはハマる

ここまで書いてきて改めて思うのは、60系プリウスPHVは「環境性能のためだけに我慢して乗るクルマ」では、もうないということだ。

  • 通勤・買い物はEV、遠出はガソリンでこなしたい人
  • 「プリウス=退屈」というイメージを一度払拭してみたい人
  • 走りの質にもこだわりたいけれど、燃費もしっかり気にしたい人
  • 中古で「新車に近い個体」をお得に狙いたい人

こういう人には、かなり刺さる一台だと思う。実際に試乗してみると、カタログスペックだけでは伝わらない「乗ってからのワクワク感」がしっかりある。気になっている人は、ぜひ一度ディーラーで試乗してみてほしい。きっといい意味で予想を裏切られるはずだ。

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